ボイストレーニングの基礎知識

残念なヴォーカリストにならないために、正しいトレ ーニング方法を紹介していくというのがテ ーマです。しかし、まだまだボイトレを知らない人や、 トレーニングに関する知識が古かったり間違ったりし たまま続けている人が多くいます。ここでは、正しい 知識、正しく新しいトレーニング方法を紹介していき ます。ここに書かれていることを読んで、間違った知 識を取り除いてください。

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超基礎知識がなくて残念

いつも、どんな姿勢で歌っていますか? 立って? 座って? 猫背のまま? それとも胸をガンと前に出して? あごを上に向 けた状態で? もしかすると、歌うときの姿勢を覚えていないほ ど、姿勢にこだわりがない人も多いかもしれませんね。

▼ 正しい姿勢とは

ボイトレをするときに、まず押さえておきたいのが“姿勢”で す。ただ背筋を正して歌う、というのではありません。まずは立っ て、背筋を軽く伸ばして胸を軽く張り、首を前に出したり引っこ めたりしないで、首は肩と肩の真ん中にくるようにします。

なぜ、首の位置にこだわるのかというと、実は、首と喉の位置関係が一番重要だからなんです。首と喉が正しい位置関係にあるときには、 ストレスなく歌えます。逆に、例えばあごを上げてしまうと、つ まり喉が引っ張られちゃうことにつながります。それは首と喉が 正しい位置関係にないということになるわけです。

ではなぜこれらの位置が大切なのかというと、音程をとっている声帯のまわり の状態に関係してくるから。声帯は喉にある発声器官で、声帯を引っ張ったり緩めたりする運動で音程が変わるんです。だから、 胸が緩む(猫背のような姿勢になる)と喉も緩むことにつながる し、そうすると肋骨の間隔が狭くなり、肺が圧迫されて呼気量も落ちるんです。

そういう意味では、座っても立っても、首と喉の位置関係が正しければ問題ないのですが、座って歌うことで、横 隔膜の動きが制限されて肺活量が少なくなるので、やはりトレー ニングでは立って行なった方が良いですね。基本的なことができ るようになれば、その後はピアノの弾き語りなど、座りながら歌っ ても違和感はないと思います。

▼ 正しい声の出し方とは

正しい姿勢が分かりましたが、では正しい声の出し方は分かり ますか? まだトレーニングを始めていない人、始めて間もない人にも分かるように、簡単にその正誤のイメージを伝えると、“自分で声を出していて気持ち良いか悪いか”がポイントになります。 どこかが引きつっていたり、自由じゃない感じがしたら、それは間違いです。

どうですか? 簡単すぎますか? でも、声を出し たときに自由に歌えている感触があり、違和感なく楽で気持ち良 いというのは快感です。

声を出して歌うときの知識

声が出るということは

さらに歌うときは、口の開け方も重要です。口の開け方は響き と発音に関わってきます。細かい話をすれば、例えば「え」とか「い」 とかを発音するときのように、口を横にいっぱい開けると、口角から耳の後ろあたりまでの距離(つまり喉までの距離)は、口を 横に開いていないときと比べて短くなりますね。

この距離はいわば“楽器の長さ”に相当するんです。

ここが短いと、音質が高くなって、この距離が長いと音がこもるんです。だから口を横に開ける と明るい音が出て、口を縦に開けると丸い音が出る。

また“響き” についてもっと初心者の方にも納得していただけるように話をす ると、上の奥歯と下の奥歯の間があんまり開いてないときは、つ まり口が開いていないということだから、全然響かなくなる、と いうことなんです。

逆に上の奥歯と下の奥歯を開けるようにする と、口の中に空間がとれるので声が響くんです。だから、上の奥 歯と下の奥歯の間を広くとるように心がけると、よく響く声で歌 えると思います。ちなみにちょっと難しく言うと、これは周波数 特性が変わってくるということなんです。そういう意味では、口 の開け方で音色が全然変わってきちゃいます。

いかがですか? あなたはこれらのことについて正しく知って いましたか? 例えば、姿勢のことは知っていても、その意味を 知らなかったなどという人も少なからずいるのではないかと思い ます。このように、それぞれの正しい練習方法には意味があるの

で、それを理解しつつ練習の回数を重ねていってください。

リズム感を向上させるには?

音程がとれていて、音域が広く、声量もあると自負しているあ なた、リズムについても自信はありますか? 発声などのトレー ニングを地道にやっている人の中にも、リズム感が悪い人がいま す。では、どうやったら“残念なリズム感”から、リズム感が向 上することにつながっていくのでしょう。

リズム感を向上させる

トレーニングでは、まずは歩くように足踏みしながら歌うことがスタートになります。それに加えて手拍子もし ます。

その状態で、例えばシンプルなものではメトロノームに合わせたダンス・ミュージックや好きな音楽に合わせて、ちゃんとブレずに手拍子と足踏みができるように練習していくんです。

リズム感が残念な人は、基本的にはウラ拍がちゃんととれていないから、ズレてしまうんです。拍子を数えて、このうちの“とう”の部分(ウ ラ拍)でちゃんと手を叩きながら、歩けるか、またその状態をキー プしながら歌えるかが大事です。

リズム感を取るのが苦手な人は、楽器などを利用した音楽練習をするのもおススメです。音楽教室に通うのも手ですが、独学で楽器演奏をする場合はゆっくりのスピードでもズレないように練習してみると良いでしょう。これができてくると、かなりリズム感が良くなると思います。

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他にも、スピードが速い曲を歌うのが苦手、逆にスピードが遅い曲を歌うのが苦手、という人もいます。一般的に速いスピード の方が、リズムのズレが見えにくいので歌うのは簡単なんですが、 これは滑舌が良くない人にとっては難しいんです。だから速い曲 が苦手な人は、滑舌が悪いということにつながりますね。それを 克服するためには、シンプルですが、早口言葉を練習してみると 良いでしょう。

一方、スピードが遅い曲を歌うのが苦手な人も多くいます。“リ ズムをとらえる”ということを考えると、実はこちらの方が速いス ピードの曲を歌うより難しいのかもしれません。リズムが遅いと いうことは逆にリズム感の善し悪しが出るので、ちゃんと拍の位 置をとれないと、ズレが大きく出ちゃうことになるんです。